理学療法42巻2号

特集 エビデンスも活用した上肢運動器疾患患者に対する理学療法ケーススタディ   定価:2,200円(税込)

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 安全で効果的な理学療法を実践していくためには、

「①理学療法士の臨床能力」、「②施設の設備や環境」に,「③質の高い臨床研究の検証結果であるエビデンス」 “も” 加えて基本的な方針を立案し、「④対象者の意向や価値観」との折り合いを取りながら臨床的な方針を判断していくという根拠に基づく実践(evidence-based practice:EBP)の概念と手法を展開していくことが重要となります。
 
 2020年の理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の改正により、実習生が診療チームの一員として加わり、臨床実習指導者の指導・監督の下で「診療参加型臨床実習」を行うというスタイルの推奨・導入が始まっています。これにより、改正前のように同じ対象者を同じ実習生がサポートを続け全体像を捉えるという経験、つまり理学療法を展開する思考過程を学ぶ機会が少なくなり、他職種とのカンファレンスなどにおける対象者を中心としたゴール設定に難渋する若手理学療法士も多いのではないかと感じます。
 
 そこで本特集では、上記の「診療参加型臨床実習」で不足しがちな視点を学ぶ機会を提供するという観点も含めて、症例の状況を総合的に勘案した上でのEBPの具体的な進め方についてケーススタディを通して学ぶ機会を提供することを目的として解説していただきます。


    • エビデンスも活用した上肢運動器疾患患者に対する理学療法の進め方
       【上田泰之】
  • ・ EBP の手順
  • ・上肢運動器疾患患者に対する理学療法における EBP の課題
  • エビデンスも活用した肩関節周囲炎患者に対する理学療法ケーススタディ
     【春名匡史】
  • ・症例
  • ・エビデンス活用の限界
  • エビデンスも活用した肩腱板断裂患者に対する理学療法ケーススタディ
     【三浦雄一郎,福島秀晃,森原 徹】
  • ・「エビデンスも活用した症例報告」を行うために
  • ・症例1
  • ・症例2
  • エビデンスも活用した外傷性肩関節不安定症患者に対する理学療法ケーススタディ
     【吉田一也,小林弘幸,久我友也】
  • ・外傷性肩関節不安定症の治療
  • ・症例の概要
  • ・本症例に対する理学療法の経過
  • ・ EBP の5 ステップ
  • エビデンスも活用した上腕骨外側上顆炎患者に対する理学療法ケーススタディ
     【石井 斉,石井 毅,熊川大樹】
  • ・ LHE 患者に対する理学療法の実践にあたり留意すべきこと
  • ・ケーススタディ
  • ・今後の課題
  • エビデンスも活用した橈骨遠位端骨折患者に対する理学療法ケーススタディ
     【高見悠也,高村 隆】
  • ・橈骨遠位端骨折の評価の概要
  • ・橈骨遠位端骨折後の患者の理学療法の流れ
  • エビデンスも活用した手根管症候群患者に対する理学療法ケーススタディ
     【杉野美里,蓬莱谷耕士】
  • ・ CTS に対する治療のエビデンス
  • ・症例紹介
  • ・エビデンス活用の限界
  • ● 講 座

  • 多職種連携実践と多職種連携教育8―災害時における多職種連携実践
     【冨岡正雄】
  • ・被災した病院での多職種連携
  • ・院外での災害時の多職種連携
  • ・在宅における多職種連携
  • ・実例紹介
  • 臨床評価における定量的データの収集と解釈の進め方22―睡眠計によるダイアベティス(糖尿病)患者のデータの収集と解釈の進め方
  •  【野村卓生,西中川剛】
  • ・睡眠の基礎知識
  • ・睡眠データの種類と評価機器
  • ・ウェアラブルデバイスにより得られる睡眠データの解釈と注意点
  • ・睡眠行動の支援