理学療法39巻12号

特集 外傷性脳損傷に伴う意識障害を有する患者の理学療法   定価:1,980円(税込)

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 外傷性脳損傷(traumatic brain injury)とは,交通事故や転倒などで外から頭に強い力が加わり,脳の組織が傷つくことによって起こる疾患であり,それにより筋力低下,痙縮,協調運動障害および運動失調,高次脳機能障害など多彩な症状と障害像を呈します.
 外傷性脳損傷に伴う意識障害のある患者の最大限の機能回復のためには,「医師や看護師などとの連携」,「適切な理学療法評価」,「慎重なリスク管理」のもと,合併症による意識変容や二次障害の予防に向けた離床など理学療法による早期介入が不可欠です.

 本特集では,外傷性脳損傷の診断・治療の概要と意識障害の理解のポイントについて述べていただいたあと,外傷性脳損傷に伴う意識障害を有する患者のチーム医療と理学療法士の役割,急性期から回復期までの理学療法評価と基本的な理学療法の進め方,意識回復のためのアプローチ,リスク管理と離床,立位・歩行トレーニングについて,本分野のエキスパートに述べていただきます.

  • 外傷性脳損傷の診断・治療の概要と意識障害の理解のポイント
     【新見昌央】
  • ・外傷性脳損傷の診断と分類
  • ・外傷性脳損傷の治療
  • ・意識と意識障害
  • ・意識に関わる脳領域
  • ・意識障害の評価
  • ・意識障害の分類
  • ・外傷性脳損傷における意識障害の予後
  • ・外傷性脳損傷による意識障害の治療
  • 外傷性脳損傷に伴う意識障害を有する患者に対するチーム医療と理学療法士の役割
     【三谷祐史】
  • ・チーム医療について
  • ・チーム医療を構成する職種
  • ・チーム医療における理学療法士の役割
  • ・チームの専門職と理学療法士との連携のあり方
  • 外傷性脳損傷に伴う意識障害を有する患者の基本的な理学療法の進め方
     【北野貴之】
  • ・意識障害とは
  • ・意識障害患者の理学療法の目的
  • ・意識障害の評価
  • ・身体機能の評価
  • ・理学療法の進め方
  • ・意識障害患者の機能予後について
  • 外傷性脳損傷に伴う意識障害を有する患者の意識回復のためのアプローチ
     【菅野成樹,坪井宏幸,西村行秀】
  • ・意識障害に対する治療方法
  • ・意識障害を改善させるリハビリテーション治療
  • ・症例
  • 外傷性脳損傷に伴う意識障害を有する患者のリスク管理と離床の進め方
     【杉谷竜司,有薗信一,吉岡宏真】
  • ・外傷性脳損傷患者における急性期での離床の考え方
  • ・外傷性脳損傷急性期の患者に理学療法を実施するたのリスク管理
  • ・ICPに影響を与えるバイタルサインの変動や患者管理について
  • ・ICPなどの内的影響以外でのリスク管理について
  • ・「チーム医療」遂行のためのリスクマネージメント
  • ・実際の外傷性脳損傷患者に対する離床の進め方
  • ・症例提示
  • 外傷性脳損傷に伴う意識障害を有する患者の立位・歩行トレーニングの進め方
     【児嶋大介,櫻井雄太,藤田恭久,田島文博】
  • ・意識障害に対して離床を進めることの意義
  • ・離床を進める上での注意
  • ・歩行トレーニングの注意点
  • ・効果が得られない場合の対応
  • ・課題難易度の設定と調整
  • ・高次脳機能障害への対応
  • ・症例紹介
  • ● 講 座

  • 知覚・認知と運動制御7―意識と運動制御
     【宮脇 裕】
  • ・フィードバック制御を駆動する運動主体感
  • ・運動主体感の比較器モデル
  • ・見かけの心的因果としての運動主体感
  • ・運動主体感の手がかりの統合理論
  • ・脳卒中後運動障害が招く運動主体感の変容
  • 疾患別理学療法における装具療法の役割9―運動器疾患患者の装具療法:腰椎疾患の場合
  •  【城内若菜】
  • ・腰椎コルセットの役割
  • ・腰椎疾患における装具の活用
  • ・その他の装具の活用
  • ● 報 告

  • 胸腰椎椎間板ヘルニアに対する固定術8回施行後の腰背部痛により歩行距離短縮を来した症例に対する機能訓練特化型通所介護と介護予防訪問看護Ⅰ5・2超の併用による効果
     【大塚亮,南公大,加藤良典,浅井勇人,小出益徳,浅井友詞】