女性の骨盤―妊娠・出産における身体的変化とエクササイズ 補訂版

 <基礎を支えつづけるロングセラー >

女性の骨盤―妊娠・出産における身体的変化とエクササイズ 補訂版

ブランディーヌ カレ-ジェルマン

田中美緒監訳

石井美和子

B5判 150頁 2023年(初版 2015年)
ISBN978-4-907347-85-7

定価3,300円(税込)

 

◆ 解剖学の発展を受けて,112頁,113頁,123頁の,3頁が
 書き改められた補訂新版.

◇ フランスの著名な女性理学療法士が女性のために骨盤周辺について
 解剖・生理学的見地からわかりやすくまとめた定評の著書.

◇ 著者本人が書き上げたイラスト245 枚が正確な理解の助けに.

◇ 妊産婦の方はもちろん,理学療法士,助産師,ピラティストレーナー等,
 女性の身体と骨盤に対して,常により良いアプローチの方法を模索する人々の
 「骨盤論」の基礎になる知識を収載.

  <目次>

    •  第1章 骨盤の骨格
    • ・骨盤
        骨盤の指標となるポイント
        骨盤のイメージ―自分自身の骨盤のイメージを頭の中で描いてみましょう
        骨盤の骨で構成される関節
      ・開口部
        上方開口部
         上方開口部の径
         小骨盤
        中間開口部
        下方開口部
        骨盤腔
      ・産道通過のための児頭の回旋
      ・分娩時の骨盤の動き
        似ていて,混同されやすい動き
         骨盤前傾と骨盤後傾
         腰椎伸展と腰椎屈曲
      ・会陰にある2つの三角
      ・骨盤の骨と会陰周囲の形態学(女性の外生殖器)

 

    •  第2章 骨盤底領域の筋群
    • ・骨盤底筋群の構成と機能のあらまし
      ・骨盤底表層の筋群
         尿生殖三角
      ・骨盤底筋深層の筋群
         肛門挙筋と尾骨筋
         尿生殖裂孔
      ・骨盤底表層と深層の筋群の小骨盤内の位置
      ・会陰腱中心
         会陰腱中心と出産
         会陰切開術

 

    •  第3章 小骨盤内臓器
    • ・小骨盤内臓器の配置
      ・小骨盤内臓器の複数の支持機構
      ・膀胱
      ・尿道
        小骨盤内における膀胱と尿道の支持性
        排尿
        妊娠中と出産時の膀胱と尿道
      ・子宮
      ・膣
        小骨盤内における子宮と膣の支持性
        広間膜
        妊娠中の子宮
         出産日の子宮
         出産後
      ・直腸
      ・肛門
        小骨盤内における直腸と肛門の支持性
         受動的要素による支持
         筋活動による能動的支持
        排便(排泄行為)

 

    •  第4章 骨盤周囲の筋群
    • ・股関節深層の筋群
         梨状筋
         内閉鎖筋
         外閉鎖筋
      ・殿筋群
         大殿筋
         骨盤底後部の筋群と大殿筋を明確に区別するための姿勢
      ・股関節内転筋群
         収縮の違いを知る方法
      ・腹筋群
         腹直筋
         腹横筋
         内腹斜筋と外腹斜筋
         腹筋群と骨盤底筋群の強化
      ・横隔膜
         横隔膜と娩出
         呼気を止めた息み―横隔膜の関与
         呼気に合わせた息み―横隔膜が関与しない理由

 

    •  第5章 諸動作の分析
    • ・骨盤底に圧が強くかかる諸動作
      ・しゃがみ姿勢
      ・股・膝関節の屈曲・伸展位と骨盤の動き
         特に出産のとき
      ・分娩と骨盤底のエクササイズ時の姿勢の例

 

    •  第6章 骨盤底と分娩
    • ・分娩の2つの相(段階)
      ・分娩時(娩出期)の会陰の伸張
      ・胎位
      ・分娩時に起こり得る会陰の傷害

 

    •  第7章 小骨盤内でよくみられる症状
    • ・尿失禁
        腹圧性尿失禁
        不安定膀胱による尿失禁
      ・尿閉
      ・外陰部の開口
      ・膣痙攣
      ・便失禁
      ・直腸性便秘
      ・臓器脱
      ・痔

 

    •  第8章 エクササイズ
    • ・エクササイズについて
      Ⅰ.骨盤のエクササイズ
       A.骨盤の形状を思い描いてください
       B.骨盤の荷重移動の感覚
        1)坐骨の左右方向への荷重移動
        2)坐骨の前後方向への荷重移動
       C.骨盤の自動運動
        1)坐骨を左右方向に動かす
        2)仙骨か尾骨を前後方向に動かす
        3)複合運動
       D.股関節の動きに伴う骨盤の動き
        1)座位で大腿を外側へ動かす
        2)背臥位で大腿を外側に動かす
        3)背臥位で大腿をクロスさせる
       E.股関節運動時の骨盤内の安定性維持
       F.両股関節上での骨盤前傾と骨盤後傾
        1)骨盤から腰椎を動かす
        2)腰椎から骨盤を動かす

      Ⅱ.骨盤底筋群のエクササイズ
       A.骨盤底筋群エクササイズの前に行うこと
        1)圧がかかった状態の骨盤底域を感じとる
        2)骨盤底の3種類の反応を感じとる
        3)骨盤底の3種類の反応が日常の場面で再現されることを確認する
        4)会陰を何かに接しさせ位置と状態を確認する
        5)骨盤底筋群の反応性に対するエクササイズ:弛緩させることから緊張させることまで
       B.骨盤底表層の筋群の収縮と強化
        1)下方開口部を確認する
        2)前後方向の収縮を習得する
        3)左右方向の収縮を習得する
        4)さまざまな筋収縮のタイプを習得する
        5)交差性の筋収縮を習得する
        6)呼吸と筋収縮の協調性を習得する
       C.骨盤底深層の筋群の収縮と強化
        1)骨盤底深層の筋群の所在を確認する
        2)深層全体を収縮させる
        3)会陰を挙上する高さを変化させる
        4)会陰下降の程度を変える
        5)素早い収縮と弛緩を習得する
        6)非対称性の収縮を習得する
        7)日常生活の中で実施する
       D.恥骨直腸筋のエクササイズ
        1)恥骨直腸筋を確認する
        2)恥骨直腸筋を収縮させる
        3)さらに強度を上げる方法を行う
        4)肛門括約筋と恥骨直腸筋の収縮を習得する
        5)恥骨直腸筋の片側のみの収縮を習得する
        6)さらに強度の高いエクササイズを日常生活に組み込む

      Ⅲ.骨盤底周囲筋群のエクササイズ
       A.腹筋群のエクササイズ
        1)腹筋群収縮と骨盤底筋群弛緩の感覚を習得する
        2)腹筋群と弛緩と骨盤底筋群の収縮・弛緩の協調性を習得する
        3)呼気よりも,骨盤底筋群,下腹部の収縮にこだわる
        4)腹筋群のさらに強度の高い収縮を習得する
        5)腹筋群の活動を習慣づける
       B.殿筋群のエクササイズ
        1)殿筋群の収縮を確認する
        2)殿筋群と骨盤底筋群の収縮を区別する
        3)殿筋群を漸増的に強化する
       C.股関節内転筋群のエクササイズ
        1)股関節内転筋群の収縮を確認する
        2)股関節内転筋群と骨盤底筋群の収縮を区別する
        3)深層の股関節内転筋群の柔軟性を高め強化を図る
        4)股関節内転筋群全体の柔軟性を高める

      Ⅳ.小骨盤内臓器のためのエクササイズ
       A.膀胱と尿道のエクササイズ
        1)膀胱と尿道の所在を確認し排尿時の感覚を感じとる
        2)膀胱および尿道のさまざまな変化を確認する
        3)尿道の収縮感覚を習得する
        4)尿道を弛緩させる
        5)正常な排尿を防いでいる原因を見つけ出す
        6)不完全な排尿をなくす
        7)排尿のための腹圧のかけ方
        8)排尿活動を見直す
        9)排尿を中断する
       B.子宮と膣に役立つエクササイズ
        1)膣粘膜の働きを感じとる
        2)膣の所在を確認する
        3)子宮の所在を確認する
        4)膣領域の骨盤底筋群の収縮を促進する
        5)膣の筋の収縮を促進する
         a)縦走繊維の収縮
         b)膣の右と左の収縮
         c)括約筋の収縮
        6)子宮の筋繊維収縮について
       C.直腸と肛門のエクササイズ
        1)排便反射:排便のサインを感じとる
        2)直腸の所在を確認し働きを感じとる
        3)直腸運動の再教育をする
        4)全長にわたり直腸の緊張を回復させる
        5)肛門括約筋のエクササイズ
        6)排便は基本的行為
      Ⅴ.小骨盤内臓器にかかる圧を減らす
       A.傾斜姿勢をとることによる減圧
       B.呼吸による減圧
        1)胸式呼吸をする
        2)呼気により腹部の圧を下げる
        3)腹部にかかる圧の軽減をコントロールする
        4)共同運動を抑制する
        5)1つの臓器に集中した圧を減らす
        6)他の肢位・姿勢や場面で実施する

 

  •  第9章 ガイドライン:産前・分娩時・産後のためのエクササイズ
  • ・思春期以降になすべきこと
    ・妊娠期間中になすべきこと
      骨盤の骨
       妊娠初期
       妊娠中期と後期
      骨盤底筋群
      横隔膜/腹筋群/骨盤底筋群
       硬膜外麻酔実施の可能性に備える
      小骨盤内臓器
       膀胱
       子宮
       直腸
    ・分娩に向けてなすべきこと
      会陰をリラックスさせ,柔軟にする
       マッサージを施す
       入浴する
       温シップを用いる
      分娩時に息みを利用する
       「息を止めて息む」または「息を吐きながら息む」
       息む方向を決める
       息みを中断する
    ・産褥期間中になすべきこと
      骨盤
      骨盤底筋群
      腹筋群
      小骨盤内臓器
       会陰切開を受けた場合や多少でも裂傷が生じた場合
    ・閉経期に向けてなすべきこと