理学療法42巻3号

特集 高齢者のための統合ケア(ICOPE)と理学療法   定価:2,200円(税込)

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 高齢者のための統合ケア(ICOPE:Integrated Care for Older People)の目的は、地域で働く医療・介護従事者が、高齢者の健康と社会的ケアのニーズに総合的に対応するとともに、その管理を支援することにあります。

 日本老年医学会から『ICOPEハンドブック』(日本語版)が発表されており、
 その冒頭では「包括的で連携のとれたプライマリーヘルスケアのアプローチを構築し、実施することで、高齢者の内在的能力の低下を予防・改善したり遅らせたりすること、内在的能力の低下が避けられない場合には、それを補完することでその人の機能的能力を最大限に引き出せるようにすることが課題となっている。」
 「統合ケアアプローチは地域に根差し、サービスの提供者のニーズではなくサービスを受ける高齢者のニーズに沿って設計され、介護制度と効果的に連携する必要がある。」とあります。

 本書では、ICOPEガイドラインにある6つの推奨事項の内容を踏まえて、理学療法において高齢者のケアに取り組むべき視点を検討し、解説していただきます。


  • 高齢者のための統合ケア(ICOPE)における内在的能力と機能的能力の捉え方
     【浦野友彦】
  • ・我が国におけるヘルシーエイジングのためのフレイル対策
  • ・国際的なヘルシーエイジングの捉え方とICOPE
  • ・ICOPE における内在的能力と機能的能力の内容
  • ・日本から提唱された高齢者の機能的能力を測定するための尺度
  • ・コロナ禍を例に考える高齢者における内在的能力と機能的能力の変化
  • 高齢者のための統合ケア(ICOPE)におけるスクリーニング
     【川村皓生】
  • ・スクリーニングの目的
  • ・ICOPE におけるスクリーニングと内在的能力
  • ・ICOPE スクリーニングツールと関連する評価
  • ・介護予防領域におけるスクリーニング
  • ・パーソンセンタードケアに繋げるためのスクリーニングの重要性
  • 高齢者のための統合ケア(ICOPE)に基づいた認知機能低下を有する高齢者のケアと理学療法
     【山上徹也,田中繁弥】
  • ・地域で行う基本評価(一次スクリーニング)
  • ・病院・施設等で行う詳細評価
  • ・支援
  • 高齢者のための統合ケア(ICOPE)に基づいた移動能力低下を有する高齢者のケアと理学療法
     【新井智之】
  • ・移動能力を改善するためのケア手順
  • ・運動能力低下のスクリーニング
  • ・運動能力の評価
  • ・正常な運動能力と判定された場合の管理
  • ・運動能力低下と判定された場合の評価とマネジメント
  • 高齢者のための統合ケア(ICOPE)に基づいた栄養障害を有する高齢者のケアと理学療法
     【高橋浩平】
  • ・栄養障害と内在的能力との関係
  • ・ICOPE における栄養評価
  • ・活力の維持・向上に対する理学療法士の役割
  • ・ICOPE の活力評価を利用した栄養理学療法の一例:ケーススタディ
  • 高齢者のための統合ケア(ICOPE)に基づいた抑うつ症状を有する高齢者のケアと理学療法
     【石橋雄介,福田浩巳】
  • ・ICOPE の考え方と背景
  • ・抑うつ症状を有する高齢者に対するICOPE に基づいたわが国の理学療法の取り組み
  • 高齢者のための統合ケア(ICOPE)に基づいた尿失禁を有する高齢者のケアと理学療法
     【大内みふか,湯上里佳子,橘田岳也】
  • ・高齢者の尿失禁の特徴
  • ・尿失禁に対してICOPE が,どのような考え方と方法を推奨しているか
  • ・尿失禁を有する高齢者に対する理学療法における評価のポイント
  • ・具体的な理学療法
  • ・実践例
  • ● 講 座

  • 多職種連携実践と多職種連携教育9―国内外における多職種連携教育の動向
     【下井俊典】
  • ・IPE およびIPCP の必要性に関する国外の認識や動向について
  • ・国内の専門職養成教育(学部学校教育)におけるIPE の位置づけ
  • ・現任者に対する卒後教育としてのIPE 導入・実装の現状
  • ・おわりに:IPE 設計のポイント
  • 臨床評価における定量的データの収集と解釈の進め方23―自律神経計測器による心拍・脈波のデータの収集と解釈の進め方
  •  【鈴木 慶,大森啓之,浅見正人,鈴木郁子】
  • ・自律神経計測器による心拍・脈波データの収集のメリットとデメリット,および注意点について
  • ・自律神経計測器により得られた心拍・脈波のデータ(結果)の解釈とその応用について
  • ・運動中の脈拍・HRV 計測とウェアラブルデバイスの活用
  • ・自律神経計測器により得られた心拍・脈波のデータ(結果)を理学療法プログラムに反映させるノウハウについて
  • ・理学療法士にとっての自律神経計測の利点
  • ・自律神経計測における限界と課題