理学療法37巻5号

特集 慢性疼痛と理学療法   定価:1,980円(税込)

    電子版(医書.jp)   文献単位の購入(メディカルオンライン)

 国際疼痛学会は慢性疼痛を
「治療を要すると期待される時間の枠組みを超えて持続する痛み,
あるいは進行性の非がん性疾患に関する痛み」としており,

厚生労働省の調査によると
3カ月以上持続する慢性疼痛に悩む人の割合は15~22%で,
およそ5人に1人もの人が長引く痛みを抱えています.

 慢性疼痛は,
「組織の損傷や炎症を治癒しきれず,それに伴い痛みが持続する <①急性痛が長引いたもの>」と,
「新たに発生した病気としての <②慢性痛症>」とに分けられます.

 理学療法の臨床場面では,このように長引いた痛みを呈する症例に対峙することも多く,
理学療法としての具体的な評価,治療,指導の内容を,十分に理解することが重要となります.

本特集では,7つの側面から多角的に述べていただきます.

 

  • 慢性疼痛と理学療法
    【下 和弘,松原貴子】
  • ・痛みの伝導路
  • ・急性痛と慢性疼痛
  • ・痛みの恐怖回避モデル
  • ・慢性疼痛と理学療法教育
  • ・慢性疼痛に対する理学療法のエビデンス
  • ・慢性疼痛の理学療法
  • 慢性疼痛の病態生理学的理解のポイント
    【坂本淳哉,沖田 実】
  • ・侵害受容性疼痛が発端となる慢性疼痛のメカニズム
  • ・神経障害背疼痛が発端となる慢性疼痛のメカニズム
  • ・不活動が慢性疼痛の発生に及ぼす影響
  • 慢性疼痛の脳科学的理解のポイント
    【大住倫弘,森岡 周】
  • ・痛みの脳メカニズムの基本理解
  • ・慢性疼痛における脳機能異常
  • ・今後の課題
  • 慢性疼痛の理学療法評価 
    【肥田朋子】
  • ・生物学的要因の評価―疼痛強度,痛覚感受性,痛みの質の評価
  • ・心理的要因の評価―破局的思考,恐怖回避,不安,抑うつの評価
  • ・身体的側面の評価―運動機能・活動の程度の評価
  • ・社会的側面の評価―健康観,生活の質の評価
  • ・今後の課題
  • 慢性疼痛に対する認知行動療法の臨床実践と効果検証
    【井上雅之,西原真理,牛田享宏】
  • ・慢性疼痛の治療に CBT を用いる理論的背景
  • ・慢性疼痛に対する CBT の臨床実践
  • ・慢性疼痛に対する CBT のエビデンス
  • 慢性疼痛に対する物理療法の臨床実践と効果検証―経皮的電気刺激(TENS)を中心に
    【瀧口述弘,庄本康治】
  • ・慢性疼痛に対して用いられる物理療法の種類
  • ・TENS の原理と作用
  • ・慢性疼痛に対する TENS 使用の実際と効果検証
  • ・脊髄刺激療法
  • ・経頭蓋直流電気刺激
  • ・体外衝撃波療法
  • 慢性疼痛に対する運動療法の臨床実践と効果検証 
    【坂野裕洋,前原一之】
  • ・慢性疼痛に対する運動療法の目的と効果
  • ・慢性疼痛に対する運動処方の考え方
  • ・慢性疼痛に対する運動処方のポイント
  • ・症例紹介
  • ・慢性疼痛に対する臨床実践における課題

● 講 座

加齢に伴う運動器の変化と理学療法の視点9―加齢に伴う股関節の変化:変形性股関節症を中心に
【宮﨑茂明,帖佐悦男】
・有病率
・定義および頻度
・病態・診断基準,病期分類
・身体所見
・機能障害

理学療法士に必要な栄養学の知識12―循環器疾患患者に対する理学療法の一環としての栄養管理
【河野裕治,矢箆原隆造,水谷公司,大高洋平】
・虚血性心疾患(非心不全)患者に対する理学療法の一環としての栄養管理
・心不全患者に対する理学療法の一環としての栄養管理
・理学療法における栄養状態の評価とモニタリング

 

● 原 著

  • 女性人工股関節置換術患者における,術前,術後3カ月,6カ月の心肺運動負荷試験での運動耐容能の経時的変化
    【根来政徳,西村真人,谷本武晴,岡元進一,夏梅隆至,平林伸治男】