サンプル版
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35 Michenerら9)は,この棘上筋腱の肥厚を考慮し,AHDに対する棘上筋腱の占有率を測定する方法を考案し,肩峰下インピンジメント症候群の患者は健常者よりも占有率が大きいことを報告している. またDesmeulesら10)は,肩峰下インピンジメント症候群の患者では,肩関節外転0°から45°にかけて,健常者と比べてAHDがより狭小化することを報告している. 今回,筆者らは,腱板断裂患者を対象に,肩関節安静時と外転時の2条件でAHDを計測した.筆者らが実施しているAHD測定法を紹介する.AHDの測定肢位は,肩関節内旋位または中間位での肩関節0~60°の外転位とする.プローブの配置を図4に示す.肩峰の外側端と上腕骨骨頭の近位端とを結ぶ線をAHDとして計測する(図5 A~D).この腱板断裂の症例では,肩関節0°外転位(肩関節安静時)でのAHDは健側1.26cm,患側0.77cm,60°外転位でのAHDは健側1.11 cm,患側0.27cmであり,患側のAHDが狭小化していた.理学療法 31巻1号 2014年1月図4 AHD測定時のプローブの配置 プローブを肩峰前縁から肩甲骨面上に配置し,肩峰と上腕骨骨頭を長軸像で描出する.肩峰前縁図5 腱板断裂患者の超音波画像で示されるAHD 破線矢印で示すのがAHDである.患側のAHD(C,D)は0°外転位,60°外転位ともに,健側(A,B)と比較して狭小化している.上腕骨骨頭肩峰A.肩関節0°外転位でのAHD(健側)B.肩関節60°外転位でのAHD(健側)上腕骨骨頭肩峰C.肩関節0°外転位でのAHD(患側)上腕骨骨頭肩峰D.肩関節60°外転位でのAHD(患側)上腕骨骨頭肩峰

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