サンプル版
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   肩関節の機能制限を把握するための超音波検査 1)肩峰骨頭間距離 腱板は肩甲上腕関節の関節適合性を保つ機能を有し,外転時の三角筋による上腕骨骨頭の上方偏位を抑制する3).しかし,腱板の機能が低下すると三角筋との不均衡が生じ,上腕骨骨頭が上方に偏位するため,肩峰,烏口肩峰靱帯,上腕骨骨頭により形成される肩峰下腔(subacromial space:SAS)は狭小化する4).超音波画像診断装置を用いてSASの指標である肩峰骨頭間距離(acromio- humeral distance:AHD)を測定した研究5~7)では,肩峰下インピンジメント症候群の患者は肩関節安静時のAHDが狭小化していると報告されている. しかしLeongら8)は,バレーボール選手を対象にした研究において,肩峰下インピンジメント症候群を有する選手のAHDは健常選手のものより拡大している傾向があると報告している.この報告の不一致は,AHDの測定法が統一化されていないことが原因として考えられるが,インピンジメントの反復による棘上筋腱の肥厚も影響していると考えられ,Leongら8)は,棘上筋腱が肥厚している者ほどAHDが拡大すると報告している.34理学療法 31巻1号 2014年1月図3 棘上筋と棘下筋の超音波画像腱板上腕骨骨頭A.腱板正常例(短軸像)B.腱板断裂例(短軸像)腱板上腕骨骨頭棘上筋superior facetC.棘上筋正常例(長軸像)D.棘下筋正常例(長軸像)棘下筋middle facetE.石灰沈着性腱板炎例(長軸像)棘上筋 短軸像(A)では棘上筋と棘下筋の区別はつかないが,長軸像(C,D)では棘上筋と棘下筋を区別して描出することが可能である. 正常例(A)では腱板表面は連続性を保っているが,腱板断裂例(B)では腱板表面が不整であり,腱板内部に低エコー像を認める. 石灰沈着性腱板炎例(E)では腱板内部に高エコー像(矢印)を認める.

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