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33 肩関節の超音波検査は,上肢を下垂させた座位にて行うと描出が容易となる.観察できる軟部組織は主に上腕二頭筋長頭腱,肩甲下筋,棘上筋,棘下筋である. 1)上腕二頭筋長頭腱 上肢を肩関節内外旋中間位にて下垂させた座位とする.肩関節前方から上腕骨長軸に対し垂直にプローブを配置し,結節間溝を走行する上腕二頭筋長頭腱の短軸像を描出する.結節間溝は大結節と小結節に囲まれた陥凹として容易に描出できることから,超音波診断を行う上でメルクマールとして役に立つ.正常な上腕二頭筋長頭腱の超音波画像では高エコー像を呈するが,炎症が疑われる腱では腱周囲の低エコー像や腱の肥大が認められる1)(図1 A,B). 2)肩甲下筋 手掌を前方に向けた肩関節外旋位にて上肢を下垂させた座位とし,小結節に付着する肩甲下筋腱を描出する.正常例では,線状高エコー像が層状配列したfibrillar patternが認められる(図2)が,肩甲下筋腱が大きく断裂している場合は腱の菲薄化や腱の断端が確認できる1,2). 3)棘上筋・棘下筋 肩関節軽度伸展・外旋位とする.プローブを上肢の長軸に対して垂直に大結節に配置し,棘上筋と棘下筋の短軸像を描出する(図3 A).短軸像では棘上筋と棘下筋を区別することは困難であるが,長軸像では棘上筋と棘下筋を区別して描出することが可能である. 長軸像の描出では,腱の走行に沿ってプローブを配置する.長軸像では,大結節の前方部で棘上筋が付着するsuperior facetが観察でき,プローブを徐々に後方へ平行移動し大結節の後方部に配置させると,腱板付着面の傾斜が小さくなりmiddle facetに付着する棘下筋が観察できる2) (図3 C,D). 正常な腱板の表面は上方に凸であるが,腱板断裂が生じていると腱板表面の平坦化や陥凹,腱内部の低エコー像を呈する(図3 B). また,石灰沈着性腱板炎を呈する症例では腱内部に高エコー像が認められる(図3 E).理学療法 31巻1号 2014年1月図2 肩甲下筋腱の超音波画像(正常例) 正常な肩甲下筋腱には,線状高エコー像が層状配列したfibrillar pattern(矢印)が認められる.肩甲下筋腱小結節結節間溝図1 上腕二頭筋長頭腱の超音波画像(短軸像) 正常例(A)では上腕二頭筋長頭腱内部の高エコー像を呈するが,肩関節周囲炎例(B)では腱周囲の低エコー像と腱の肥大が認められる.上腕二頭筋長頭腱小結節大結節A.正常例B.肩関節周囲炎例上腕二頭筋長頭腱小結節大結節

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